「過眠症」といわれる病気

「過眠症」といわれる病気には、「ナルコレプシー」、「特発性過眠症」、「反復性過眠症(クライネ-レビン症候群)」などがあります。これらの病気を理解していただくために、「睡眠の役割」と「睡眠の種類」についてご紹介します。

睡眠の役割

私たちはなぜ眠るのでしょう。睡眠は人間にとって不可欠な生理現象です。実は、眠っている間に体や脳の疲れを回復させ、成長を促し、心理的ストレスを発散させ、細胞レベルで生じるストレス(酸化ストレスや小胞体ストレス)を解消し、さらに目覚めている間に蓄積された記憶・情報の整理が行われているといわれています。つまり、「よく眠ること」は、「よりよく生きること」につながり、人間が健やかな生活を送るうえで重要な役割を担っているのです。

睡眠の種類

睡眠中でも脳は活動しています。睡眠中の脳波・眼球運動・頤筋電図・呼吸など複数の生理学的な指標を脳波睡眠とともに測定することを睡眠ポリグラフ(PSG)とよびます。睡眠ポリグラフ検査(PSG)によって睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠という2つの全く異なるタイプの睡眠があることがわかります。

レム睡眠は、通常、ノンレム睡眠がしばらく続いた後から出現します。眼球がキョロキョロと動く「急速眼球運動」(REM=Rapid Eye Movement)が突発的にみられることからこのようによばれています。このとき、脳は比較的活発に活動し、夢を見ていることが多く、この段階で目覚めると比較的すっきりすることが知られています。

  • レム睡眠のメモ
  • 大脳を活性化し目覚めを準備するための眠り
  • ノンレム睡眠に引き続いて現れる
  • 脳の温度は上昇
  • 骨格筋は緩んで身体は動かせない

ノンレム睡眠は、レム睡眠とは逆に、脳は休息していると考えられています。ノンレム睡眠の深さは、ごく浅いうとうとしたものから、大きくゆっくりした脳波があらわれる深い睡眠まで数段階に分かれます。

  • ノンレム睡眠のメモ
  • 大脳を休ませるための眠り
  • 脳の温度は低下する
  • 通常90分前後のノンレムーレム睡眠のセット(睡眠周期)が、入眠から4~6回繰り返され朝を迎える
  • 浅い睡眠から深い睡眠まで変化する

夜間の睡眠では、まず寝入りばなにノンレム睡眠があらわれ、うとうとした状態から深い眠りに至り、次にレム睡眠へと移ります。これら2種類の眠りが約90分ごとの周期で一晩に4~6回繰り返されます。

朝方に近づくにしたがい、ノンレム睡眠は浅くなり、レム睡眠が長くなり、徐々に身体を目覚めへと導きます。

レム睡眠は、成長期に最も多く、加齢とともに少なくなるといわれています。

睡眠のサイクル

睡眠段階 N1~N3:ノンレム睡眠 REM:レム睡眠

監修:本多 真 先生(東京都医学総合研究所 睡眠プロジェクト)

更新日:2018年10月01日

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