・精神生理性不眠症
特徴
精神的なことが原因で眠れないものに、精神生理性不眠症という病気があります。不眠症で最も多いタイプです。これは不眠を心配するあまり、寝床に入ると条件反射のように眠れなかったらどうしようと不安・緊張が高まって眠れなくなるという心理的作用によって起こります。
「精神生理性不眠症」は不眠以外の訴えが少なく、明らかな精神症状を認めませんが、不眠の原因がうつ病などの精神疾患であることが判明しているものは「精神疾患による睡眠障害」と呼ばれ、区別されています。
症状
精神生理性不眠症は、入眠困難や中途覚醒を何日も繰り返すことによって睡眠が不足し、睡眠の質が低下して、昼間の眠気のほか、全身の倦怠感、注意力・集中力の欠如、意欲の低下などがみられます。
検査方法と診断
多くの場合は問診による診断となります。場合によっては睡眠ポリグラフ検査(PSG)を実施して、寝入るまでの時間の長さ、睡眠の深さ、夜中に目が覚めた回数や時間、睡眠効率などを客観的に調べることもあります。
問診では、眠る環境が適切であるにもかかわらず不眠の訴えがあり、身体の病気や薬の影響などがなく、症状が最低1ヵ月間続いているなどいくつかの基準によって不眠症と診断されます。
治療法と対策
不眠を訴える患者さんに対しては、まず睡眠に対する正しい知識を身につけて、適切な睡眠環境を維持できるように睡眠衛生の指導が行われます。それだけでは改善されない場合には、眠りに対する不安や緊張を解くために、抗不安薬や睡眠薬が使われます。これらに加えて、最近は患者さんの睡眠に関する間違った考えを正し(認知療法)、リラクゼーションや睡眠時間制限法などを主とした行動療法が次第に行われるようになっています。これによって睡眠薬の使用を減らしたり、止めたりすることができます。
「眠れないから酒を飲もう」では解決しません。アルコールにはリラックスさせ入眠を促進する作用がありますが、眠りは浅くなり、深夜から明け方に目が覚めやすくなります。連日飲酒を続けると酒量が増えてアルコール依存性睡眠障害にも陥りかねません。寝酒では質のよい睡眠は得られないことを銘記しましょう。
・精神疾患に伴う睡眠障害
うつ病、統合失調症、パニック障害などの精神疾患では、過眠、不眠などの睡眠障害を伴う場合が多くみられます。精神疾患では、睡眠障害が最初の症状となってあらわれる、またはそれが契機となって悪化することもあり、睡眠への対応が重視されます。精神疾患の診断がある場合は、精神科医を主治医として睡眠障害に対処することが大切です。
- 精神的原因による睡眠障害のメモ
- 精神生理性不眠症
- 布団に入っても眠れない、眠らなければと考えると余計に眠れない
- 身体の病気や薬の影響などがなく、症状が最低1ヵ月間続いていると
不眠症の疑い - 昼間、ねむい
- 認知行動療法で気長に治療
- 精神疾患による睡眠障害
- うつ病などの精神疾患による睡眠障害は精神科医に相談
- 思いあたる症状がある場合は専門の医療機関を受診してください。