概日リズム睡眠覚醒障害

夜なのに眠くない、   
  朝なのに起きられない

睡眠は長く起き続けて疲労度が増すにつれて起こりやすくなりますが、それとは別に体内時計によっても支配され、1日の中の一定の時刻になると眠気が生じたり、覚醒したりします。徹夜して眠気が強くなっても日の出のころには眠気が減るのは、この体内時計の働きによるものです。この体内時計の周期は地球の自転の24時間とは若干異なるため、体内時計のリズムを約24時間、すなわち概日リズムと呼びます。この体内時計の働きが関係する睡眠障害を総称して概日リズム睡眠覚醒障害と称します。

検査方法

まず自分で2~4週間ほど就寝・起床時間を記録する睡眠表をつけてみましょう。 これは主観的な睡眠の記録ですが、睡眠のリズムを調べるにはとても役に立ちます。客観的に調べるためにアクチグラフを用いることもあります。ほかの睡眠障害の合併が疑われる場合は、睡眠ポリグラフ検査(PSG)で詳しく調べます。朝型夜型尺度でクロノタイプを調べることが有用な場合があります。

検査方法と診断

治療法と対策

睡眠障害のタイプによって異なりますが、睡眠障害についての認知行動療法(睡眠衛生指導や時間療法:睡眠時間を毎日少しずつずらして適切な時間帯に睡眠とともに体内時計を同調させる方法)、体内時計を調整する高照度光療法、また、やはり体内時計を調整する作用があるメラトニンというホルモン自体あるいはメラトニン作動薬を用いて治療します。治療の成功のためには、本人の自覚と継続する意志が大切となります。

検査方法と診断

概日リズム睡眠覚醒障害にはさまざまなタイプがあります

①睡眠相後退型

夜間なかなか寝付くことができず、午前2~3時過ぎ、あるいは明け方になってやっと眠れ、寝付くとほぼ正常な眠りがとれるので、起床時間がずれ込み、昼近くまで眠ったり、時には夕方ころにやっと目が覚めます。社会生活のため起床時刻は通常と同じであるため、慢性的な寝不足と過眠がみられます。また、起床困難に伴い学校や会社に遅刻する場合が多く、しまいには不登校や欠勤に至るなど、社会生活に支障をきたす場合があります。睡眠相後退型は概日リズム睡眠覚醒障害の中で最も多いもので、思春期や若年成人では7~16%にみられるとの報告もあります。

病気と認識されないために「やる気がない」「意志が弱い」などとレッテルを貼られ、そのせいで自己嫌悪に陥って、うつ病になってしまう人も少なくありません。なお不眠症として受診する人の約1割がこのタイプであると推定されています。

治療法と診断

病気の要因としては、もともと体内時計が狂いやすい素質の人が、夏休みなどで不規則な生活をしたり、試験勉強で徹夜を続けたり、夜勤、時差ボケなどで睡眠のリズムが狂ったことが引き金となり、発症することが多いといわれています。

治療は朝に2500ルクス以上の強い光を浴びることと(高照度光療法)、就寝の数時間前にメラトニンあるいはメラトニン作動薬を服用することで体内時計の位相を前進させることが一般的です。昼夜逆転となっている重症例では、時間療法が試みられる場合もあります。

②睡眠相前進型

午後の遅い時間帯や夕方の早い時刻に眠気が生じ、睡眠開始が早く、早朝自然に目覚めてしまいます。そのため通常よりも早い時間帯に就寝するようになり、夕方に強い眠気におそわれます。1週間以上、睡眠表とアクチグラフを記録すると睡眠開始と終了が習慣的な時間に比べ早くなっていることがわかります。まれに遺伝因子が明確に同定される例がありますが、軽度の朝型傾向はもともと朝型であった高齢者に多いようです。ただ生活上の支障が少ない場合は、ほとんど臨床的な問題にはなりません。

睡眠相後退型に比べ日常生活上不利なことは少ないのですが、夕刻以降の活動に支障が出る場合には、夕刻に高照度光療法を行ったり、朝の光を避けるような指導を行うことがあります。

③不規則睡眠-覚醒型

睡眠と覚醒の明確なリズムがみられないタイプの概日リズム睡眠覚醒障害です。入眠時刻と覚醒時刻が24時間中変動します。その結果、1日の中で、不眠状態と過眠状態が不規則に表れます。

④自由継続型(非24時間型)

身体のペースメーカーとしての体内時計が地球時計である24時間周期に同調せず、24時間よりやや長い周期で自由継続(フリーランとも言います)しているために生じる睡眠障害です。患者の多くが全盲者ですが、視覚正常者にもみられることがあることから社会的な要因や行動的要因でも起こりえます。社会のリズムに同調しないため、社会生活を行っている場合には頻繁に不眠と眠気を訴えます。

⑤時差症候群

5時間以上時差のある地域にジェット機などで急速に移動することで、体内時計が調整しきれず、時差ボケが生じるものです。そのため、夜間の睡眠障害のみならず、昼間に眠気や疲労感をおぼえます。

治療法と診断

⑥交代勤務型睡眠障害

日勤と夜勤の交代勤務の場合、通常であれば寝ているはずの時間帯に働き、起きているはずの時間帯に就寝しなければなりません。睡眠のリズムに身体が対応できないと、睡眠の不足や質の低下だけでなく、不眠症状があらわれたり、胃腸障害、頭痛などの不調を招きます。

  • 概日リズム睡眠覚醒障害のメモ
  • 夜なのに眠くない、朝なのに起床できない
  • 地球の時計と体内時計がずれてしまった
  • 昼間、ねむい
  • 認知行動療法・時間療法、高照度光療法、メラトニン療法などで体内時計を同調させるように調節して治療
  • 思いあたる症状がある場合は専門の医療機関を受診してください。
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治療法と診断

朝日を浴びて規則的な生活を

監修:本多 真 先生(東京都医学総合研究所 睡眠プロジェクト)

更新日:2018年10月01日

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