厚生労働省の統計によると、1日の平均睡眠時間が6時間未満の人の割合は近年増加しており、平成27年では、国民の39.5%に達しています。6時間未満の人のうち、男性では44.5%、女性では48.7%の人が、「週3回以上、日中、眠気を感じた」と答えています*1。
睡眠不足は、だれでも経験したことがありますが、これが長期にわたると、慢性的に眠気におそわれ、倦怠感、集中力の低下など精神活動に影響が出て、治療が必要となります。
睡眠不足症候群とは、睡眠障害国際分類で「正常な注意と覚醒状態を維持するために必要な睡眠量が持続的にとれない場合に生じる睡眠障害である」と記載されている疾患です。
*1 参考文献:平成27年 国民健康・栄養調査結果の概要(厚生労働省)
特徴
年齢に応じて必要とされている標準的な睡眠時間をとることができず、慢性的に睡眠不足に陥っている状態です。
症状
慢性的な寝不足のため、日中に過剰な眠気がおそいます。過眠症とよく似た症状です。
睡眠中は、脳を含む身体組織が回復し覚醒時に備えますが、睡眠不足になると十分な回復ができず、疲れがなかなかとれないといった自覚症状があらわれます。精神面では集中力の低下、意欲の低下、抑うつ気分、倦怠感などがみられ、それによる焦燥感やいらいらした気分などに悩まされることがあります。
検査方法と診断
睡眠表による記録を数週間以上続けると、休日には平日より睡眠時間が2時間以上長くなることが確認されます。また、十分な睡眠時間を1週間以上とることで、眠気をはじめとする症状の改善がみられれば、それで診断することができます。睡眠ポリグラフ検査(PSG)は必須ではありませんが、行った場合は良質の睡眠が確認されることが多いです。
治療法と対策
睡眠表の記録を続け、無理な生活が睡眠不足を招いていることを自覚してもらい、十分な睡眠をとるように指導します。
不摂生のためにこの状態に陥っている場合はそれを正せばよいのですが、受験勉強や残業など、睡眠時間を削らざるをえない場合には、対策が難しくなります。ある睡眠専門医療機関ではこのような患者さんが患者総数の7%にみられたと報告されています。